日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

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2024年2月12日相手に受け入れられる話し方をする


★まずほめる


日本話し方センターの話し方教室の講師が常に心がけていることがあります。


それは、『まずほめる』ということです。


実際、受講生から「先生がとにかくほめてくれるので、とてもやる気が出ます!」という声をよく聞きます。


「前回よりも声が大きくなりましたね!」
「最後まで笑顔で話しましたね。心温まる良い話でしたが、話の内容と表情が一致していて、とても聞きやすかったです!」
「とにかく話の内容が面白いですね! 話にお人柄も表れていて最後まで引き込まれました」など。


そして、良い点を伝えた後、更によくなるための改善点をアドバイスします。


「一つの文章をもっと短くすると更によくなります」
「前置きの説明が長いので、もう少しカットしてスッキリさせましょう」
「まだ少し早口なので、次回はゆっくり話すことを意識しましょう」


良い点を伝えた後に指摘することで、受講生は改善点をより積極的に受け入れることができるのです。




★学びを継続できる


私たちの話し方教室の講師が受講生のよい点をほめてから次の課題をアドバイスする効果は主に2つあります。


1つ目は、学びが継続できる、ということです。


受講生の多くは話すことに苦手意識があります。


そうした人に「もっと大きな声で!」「話が長すぎる。余計なところは削って!」など、いきなり改善点を指摘したらどうでしょう。


昭和や平成のはじめであれば、そういう指導の仕方も一般的だったでしょう。


しかし、今はそういう言い方では人は受け入れてくれません。


特に話し方教室の受講生は、ただでさえ苦手意識がある話し方を、一所懸命に学ぼうとしています。


ダメ出しばかりされてはやる気もなくしてしまうことでしょう。


まず良い点を伝えることで、トレーニングを継続してもらえるのです。


 

★自分の成長に気付ける


2つ目は、自分の成長に気付けることです。


話し方教室の受講生は、自宅で話し方の練習をして教室に参加しています。


練習した分、確実に以前よりもよくなった点があるはずです。


でも、本人はそのことに中々気付けません。


人はできていない点や欠点を強く意識してしまうからです。


なので、良くなった点を言葉にして具体的に伝えることで、成長を実感してもらえます。


これは講師にとって、とても大切な役割なのです。


私たちの話し方教室の究極の目的は、受講生が自分に自信を持てるようなることです。

そのためには、良い点、良くなった点を意識付けすることはとても重要なのです。


★円滑な人間関係を作る


ところで、私はこの最初によい点を伝えるという方法は、話し方教室以外でも、コミュニケーションの取り方として、とても重要なことだと思っています。


一般に仕事で上司が部下を教育・指導する場合、「また資料に間違いがあったのか! 君は作った資料をきちんと確認しないから、いつもこんなつまらない間違いばかりするんだよ!」というような言い方をよくみかけます。


これは相手の欠点に焦点を合わせて、それを指摘することに意識を向けた言い方です。


しかし、こうした言い方は現在の20~30歳代の人には受け入れられなくなりつつあります。


話は相手に受け入れられるように話さないと伝わりません。


話の責任は話をする方にあります。


上司は現在の20~30歳代にも伝わりやすい話し方をする必要があるのです。


では、どういう話し方がよいのでしょうか。


 

上の例であれば、


「いつも資料を作ってくれてありがとう。期限通りに仕上げてくれたのでしっかりとチェックできたよ。ところで、今回も数カ所に誤りがあったんだけど、これは見直しをしていなかったからかな?」
(部下の「はい。していませんでした」という答えを受けて)
「じゃあ、君がもっと人から信頼される仕事ができるようになるために、今後は見直しをきちんとしてね」


という話し方の方が伝わりやすいでしょう。


この例は、冒頭に紹介した私たちの話し方教室の講師の話し方と同じです。


つまり、まず相手の現状を肯定的に受け入れた上で、もっとよくなるにはこうした方がよい、ということを共感的に話す、というスタイルです。


相手をまず肯定することで、コミュニケーションが円滑になり、それが人間関係を良好なものにするのです。



★欠点を改善点と捉える


人はとにかく他人の欠点に目が行きがちです。


その目についた欠点をそのまま指摘する、というのが今までの上司の話し方でした。


しかし、上で述べたように、その欠点を欠点ととらえたまま話すと、相手にはその話は受け入れてもらえません。


今よりももっとよくなるための改善点ととらえて話すことで、より伝わりやすくなるのです。


そうは言っても、20年以上社会経験のある上司の方には、この考え方は部下に迎合的で納得できないもの、と思われるかも知れません。


私も約40年の社会経験があるので、その気持ちは痛いほどよくわかります。


しかし、上で述べたように、話は相手に理解されて初めて価値が生まれます。


独りよがりの話し方では、相手に伝わる可能性は低くなってしまいます。


ぜひ相手に伝わる話し方を常に考えていただきたいと思います。


 

★話し方を学んで良い人間関係を築きましょう!


日本話し方センターのベーシックコース2日間集中セミナーでは、上に述べたように講師が受講生の「今」を肯定的に受け止めてから、次のステップに行くためのアドバイスを差し上げています。


苦手な話し方のトレーニングを少しでも楽しんでいただけるよう創意工夫を重ねています。


話し方を改善したい、と思われている方はぜひご受講ください!

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